福岡市東区の 眼科 田原眼科
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緑内障とは?|福岡市東区の 眼科 緑内障 田原眼科

私たちの目の中には、血液の代わりをする房水という透明な液体が入っています。房水は、水晶体や角膜など眼球の前の部分に栄養を与える役割をもっていますが、同時に目の硬さ(眼圧)を適正に保って、眼球を球状に維持する役目も果たしています(図1)。緑内障は、この眼圧が何らかの形で関係する病気で、視神経が徐々に死んで行き、視野が少しずつ狭くなります。進行すると視力も低下し(眼鏡をかけても視力が出ない)、最終的には失明に至ることもあります。視神経は一度損傷されると回復不能で、一旦失った視野や視力を元に戻すことはできません。したがって、早期発見、早期治療で、視野欠損を最小限に止めることが大切です。現在、日本での失明原因の第一位は緑内障です。

眼圧とは?

図1に、眼球の水平方向の断面図を示しています。眼球内は房水と硝子体とからなる液体成分で満たされていて、眼球の形状を保っています。房水は目の前の方で前房と後房とを満たしています。一方、硝子体は目の後方で水晶体の後に存在します。これらの液体成分はちょうどボールの空気のようなもので、液体が増加すると眼球の内圧(眼圧)が上昇し、眼球は硬くなります。液体成分のうち房水は常に流動していて、毛様体で産生され、水晶体や角膜を栄養した後に前房隅角と呼ばれる所から目の外に出て行きます。眼圧変化には主にこの房水が関係します。眼圧の正常値は10~21mmHgです。

緑内障のタイプ

緑内障は、大きく原発緑内障続発緑内障先天緑内障(正式な病名は発達緑内障)に分けられます(表1)。
原発緑内障は、房水の出口である前房隅角の形で、さらに原発開放隅角緑内障、原発閉塞隅角緑内障、正常眼圧緑内障に細分されます。原発閉塞隅角緑内障は、さらに急性および慢性に分けられます。
続発緑内障は、糖尿病などの全身疾患や、白内障などの目の病気に続いて起こる緑内障で、前房隅角の形で続発開放隅角緑内障と続発閉塞隅角緑内障とに分類されます。 先天緑内障は、前房隅角の発達が生まれつき悪いために起こる緑内障で、病気が起こる時期により早発型と遅発型とに分類されます。早発型先天緑内障は3歳以下で起こり、角膜(黒目)が大きくなります。遅発型は4歳以降40歳頃までに起こり、角膜は大きくなりません。遅発型は若年緑内障とも呼ばれます。
次に40歳以上の成人に起こり易い「原発開放隅角緑内障」、「正常眼圧緑内障」、「急性原発閉塞隅角緑内障(急性緑内障)」について述べます。

表1:緑内障の分類

原発緑内障 原発開放隅角緑内障
原発閉塞隅角緑内障
急性原発閉塞緑内障(急性緑内障)
慢性原発閉塞緑内障
正常眼圧緑内障
続発緑内障 続発開放隅角緑内障
続発閉塞隅角緑内障
先天緑内障(発達緑内障) 早発型先天緑内障
遅発型先天緑内障

原発開放隅角緑内障

原発開放隅角緑内障は、前房隅角(房水の眼外への出口)が開いているのに眼圧が上昇する緑内障で、前房隅角に何らかの異常があり(現在のところ不明)、房水が眼外に出て行かないために眼圧が上昇すると考えられています。自覚症状はほとんどないのですが、眼圧が非常に高くなった時に、軽い目の痛みや、霧が掛かったように「かすんで」見える(霧視)ことがあります。多くの人で視野に欠損を起こすのですが、ある程度以上に進行するまで気付かない人が大部分です。視野障害が進行すると、視力低下も起こします。 目の検査では、眼圧が高く(25~40mmHg程度)、ほとんどの人で特徴的な視神経の異常(図2)が見つかります。また、視野障害を自覚していなくても、検査をすると視野欠損(図3)が検出されます。
現在の医学で失った視野を回復させることはできず、治療の目的は視野障害の進行を防ぐことです。そのためには眼圧を下降させることが大切で、まず点眼療法を行います。緑内障治療の目薬を1種類から始め、眼圧が十分に下降しなければ2種類、3種類と目薬を追加します。緑内障治療の目薬を3~4種類点眼しても眼圧が十分に下がらない場合や、眼圧は下降しているのに視野障害が進行する場合は、手術を検討します。手術の目的も眼圧を下げて視野や視力障害の進行を防ぐことです。ただし、現時点で眼圧が下がった状態を保つ手術法はなく、術後も点眼が必要であったり、数年して追加の手術が必要になることも稀ではありません。

図2A:正常眼の視神経乳頭(矢印)視神経乳頭内の血管の屈曲点を結んだくぼみ(陥凹)(緑の点線内)の直径は、
視神経乳頭の直径の4/10程度です。
図2B:緑内障眼の視神経乳頭(矢印)視神経乳頭内の血管の屈曲点を結んだ陥凹(白の点線内)の直径は、
視神経乳頭の直径の8/10程度で、拡大してます。
下方の網膜に神経線維の欠損が暗い色調で認められます(矢印で囲まれた部分)。

正常眼圧緑内障

眼圧が、常に21mmHg以下であるのに原発開放隅角緑内障と同様の視神経障害や視野障害を来す目の病気です。原因として、元々視神経が圧に弱い、あるいは視神経の血流が不足しているなどの説がありますが、現在のところ原因不明です。自覚症状がほとんどなく、ドック検診、あるいは他の目の病気で眼科を受診して偶然発見されることが多い病気です。
正常眼圧緑内障の視野障害の進行を確実に停止させる治療法は、今のところありません。治療の目的は、少しでも眼圧を下降させて進行を遅らせて、不自由のない視野や視力を保つことです。眼圧を、治療を始める前の値から20~30%下げることを目標に(治療を始める前が16 mmHgの場合、治療による目標となる眼圧は11~13 mmHg)、原発開放隅角緑内障と同様の目薬による治療を行います。目薬で十分に眼圧が下降しない時や、目標の眼圧に下がっていても視野障害が急激に進行する時は手術を行うこともあります。ただ、手術による合併症もあり、手術するか否かは慎重に検討する必要があります。

図3A:正常視野視神経乳頭に相当する部分に盲点が存在します。
図3B:緑内障性視野異常視野の上方に、盲点から続く暗点が存在しています。

急性原発閉塞隅角緑内障(急性緑内障)

急性原発閉塞隅角緑内障は、昔から急性緑内障と呼ばれ、失明に到る目の病気として恐れられていました。40歳以上の女性に多い病気で、房水の出口である前房隅角の形が狭い目(人)に起こります。前房隅角が狭い質の目に瞳孔が大きくなる(散瞳)と言う誘因が加わることで起こります。したがって、夜間や暗所、あるいは感激した後、激怒した後に、よく起こります。急性緑内障が起こるのは普通片目で、両目一緒に起こることは稀です。
自覚的には、霧の中で物を見るように霞んで見える(霧視)、裸電球の回りに虹が見える(虹輪視)などが起こり、視力も低下します。また、激しい眼痛や頭痛を伴い、ひどい時は嘔吐して、食事がとれなくなります。原発開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障とは違って、激しい症状を起こすために、内科を受診することも稀ではありません。検査では、結膜の充血や角膜の濁りが見られます。また、瞳孔は異常のない方と比べて僅かに大きくなっています。眼圧は40~70mmHgと著しく上昇しています。この場合、手で軽く目に触れると、緑内障を起こした目が反対の目に比べて硬くなっています。
治療は、瞳孔を小さくして眼圧を下げる目薬を頻回に点眼します。同時に眼圧を下げる薬(高張浸透圧薬)を静脈内に点滴で入れます。病気が起こって直ぐにこれらの治療を行えば、症状は後遺症なく軽快します。しかし、半日以上処置しないで放置されると、大がかりな緑内障手術が必要になったり、重大な後遺症を残す可能性が高くなります。急性緑内障を起こした目には、眼圧が下がった後に再発防止目的で、虹彩にレーザーで小さな穴を開けます(レーザー虹彩切開)(図4)。場合によっては白内障の手術である水晶体摘出術を行います。また、緑内障を起こしていない方の目も将来緑内障を起こす危険性が高く、予防的にレーザー虹彩切開や水晶体摘出を検討します。
急性緑内障は、早期に治療を受ければ再発することは稀です。また、予防手術も行うといいでしょう。そう言った面では、激しい症状は出ますが、治療を続けなければならない原発開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障と比べると、質は良いと言えるかもしれません。

図4:急性緑内障眼にレーザー虹彩切開をした写真。
虹彩に小さな穴が開いています(矢印)。

緑内障の検査

上記のように、急性緑内障以外の治療は目薬から始めます。現在、緑内障治療の目薬は20種類以上あり、大きく房水の産生を減らすものと、房水の目の外への流出を促進させるものとに分類されます。それぞれについて、作用の仕方の違いで、さらに細かく分類されます。先にも述べましたように、緑内障治療の目薬を1種類から始め、眼圧が十分に下降しなければ、2種類、3種類と作用の仕方が違う点眼薬を追加します。緑内障治療の目薬を3~4種類点眼しても眼圧が十分に下降しない場合や、眼圧は下降しているが視野障害が進行する場合は、手術を検討します。
緑内障の手術でも視野障害を改善させることはできません。眼圧を下げて、視野障害の進行を防ぐ、あるいはゆっくりすることが目的になります。手術方法には房水の排水管を広げて房水の目の外への流を良くする方法(線維柱帯切開術)と、バイパスを作って房水を眼内から結膜と強膜との間のスペースに流す方法(線維柱帯切除術)とが一般に行われています。どちらの術式を選ぶかは、視野障害の程度や病型、前房隅角の状態、眼圧の高さなどを考慮して決めます。他に、隅角にレーザーを当てる方法や特殊なチューブを前房内に挿入する方法などがありますが、特殊な場合に行います。
急性緑内障は前期の緑内障とは違い、発作時に薬物療法で眼圧を下げた後に、レーザー光線で虹彩に穴を開けたり(図4)、水晶体摘出術を行って再発を予防します。また、発作を起こした目の反対眼や、検査で発作を起こしやすいと判断された目に予防的にレーザー手術や水晶体摘出術を行うことがあります。

むすび

現時点では、緑内障が起こるのを予防することはできませんが(急性緑内障は予防が可能)、早期に発見して、きちんと管理することで不自由しない視野、視力を保つことは可能です。そのような意味で、緑内障の発症が多くなる40歳以降は、定期的に目の検査を受けて早い時期に目の異常を発見することが大切です。とくに緑内障は遺伝する傾向があり、血の繋がった家族や親類に緑内障を持った人がある方は注意が必要です。
現在の医学で、緑内障によって障害された視野や視力を回復する方法はありません。しかし、視神経を再生する方法が盛んに研究されています。近い将来、一旦障害された視野の回復が可能になる日が、きっと来ると思います。